Trippen(トリッペン)ドイツ

ビルゲンシュトックが一世を風靡し、オブリーク。トウが世間に認知されたとき、想像はついた。いずれモードの面から足なりのフォルムにアプローチしてくれるブランドが出てくるだろうとは。にもかかわらず、トリッペンの登場は新鮮だった。
 1994年に創業するまでデザイナーの一人、ミヒャエルはシュー・マイスターとして靴工房を構え、もう一人のアンジェラはコンフォートシューズ・ブランド「パマ」の主力デザイナーを務めていた。そんな二人がファーストコレクション並べたのは、高さ20センチはありそうなチョピン(高下駄)など履けない靴、靴、靴...。実験的な試みだったと回想する彼らにとって、それは自分たちの「アートの才」を確かめる行為だったのだ。
 定番品の中には足の変形矯正器具としても認可されている靴もある。つまり、彼らは既に完成の城に達していた解剖学理論に肉付けするものとして、ここではあえて履くという行為をオミットし、究極のアートに挑戦したのだ。そして目録通り、ヴォルフガング・ヨープやヨウジ・ヤマモトら世界のデザイナーの目に留まり、トリッペンは一躍世界に知れ渡る。こうしてモードコンフォートともいうべき彼らのメッセージは、僕らのもとに届いた。
 <新しさ>はいつだって予想を上回り、驚きを与えるものだ。

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<2021年の秋頃からはレザースニーカーも取り扱いたいですがコロナ次第です>

平凡社 紳士靴図鑑ベスト50ブランドより

【令和2年12月23日】
 

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